やちむんにちむどんどん

やちむんにちむどんどん

なんと結成30周年を記念する映画が公開されました。もう関東の上映は終わってしまったけれど。

残念ながら僕は生活の用事があり映画も見にいけず、その期間中に高円寺抱瓶で行われたライブにもいけなかった。抱瓶ライブに行ったブルちゃんからは、めちゃめちゃ楽しかった、記憶無くしちゃったよー、との報告。だからこんな文章を書く資格もないのだけど、ごめんなさい。

「やちむん」は1991年結成、鹿児島出身の奈須重樹さんが、沖縄に移住してはじめたバンドである。時代ごとにメンバーは色々変わってきたけれど、とにかく作曲、歌、ギターは奈須さんがずっとやっていて、奈須重樹さんのソロと言っても良さそうなものだけど、そこは明確にバンドとしての「やちむん」があるのだろうと勝手に思う。ちなみに「やちむん」とは沖縄の言葉で「焼き物」のことである。そういえば奈須さんの歌で、”「やちむん」には「ちむ」がある!” という歌詞があった。ちなみのちなみに「ちむ」は沖縄の言葉で「肝」である。ハートもしくはソウルである。そうだ、「ちむどんどん」面白かったですよね。

青春の甘酸っぱさと気恥ずかしさの中に、胸に秘めた反骨精神が時折顔を見せる、フォーク歌謡と言っていいのか、ジャンル不明の、強いて言えばちょっと懐かしいテレビや映画の音楽にルーツがあるような、昭和テイストの楽曲が多い。レパートリーは緩急自在で「ひんぷん」とか「ハブに噛まれた猫みたい」や「がんばれいぼやーるー」のようなアップテンポでユーモアたっぷりの曲もあれば、「さぁふぅふぅ」や「ロードトゥナミノウエ」のようなうっとりするようなスローバラードもあるし、「パイプラインそばでそばを食べて」のようなロックンロールもある。奈須さんはすごいメロディメーカーだと思う。一度も聞いたことのないメロディなのに、なぜか懐かしい感じがして口づさんでしまう。

ユーチューブみていると色々見つかる。

■「がんばれいぼやーるー」の1994年制作のPV。今回の映画の監督、當間早志さん制作とのこと。とんがっている。

■こちらはなんと奥様のボサノバ歌手として有名な(売れている)比屋定篤子さんとのディエット。

■こちらは「パイプライン」のライブ・イン・バンコク。いちいち通訳が入るところが最高。バンコクの人に歌わせてる。

最近もブルちゃんと語り合っていたのだが「やちむん」の音楽はしみったれていなくて、静かな曲でも暗い気分にならない。希望に溢れているわけではないが、絶望を笑い飛ばすようなところがある。そしてなんでもない日常や小さな弱い存在への愛がある。

またいつも大体ふざけている。たとえばこの歌なんて最高ではないですか? このようなコロナ禍に対する異議表明の仕方があるだろうか? (別に異議を唱えているわけでは無いのかもしれないが)

実はもう15年以上前だと思うが、阿佐ヶ谷うねり亭で「やちむん」のライブの前座を、僕らのやっていた静岡のアイリッシュトラッドバンドのギネス・ボラーチョがやらせてもらったことがある。東京でライブをやったのはこの一度キリだったように思う。この頃はますよちゃんがバイオリンだったなあ。タケシくんはいたかなあ。よく覚えていない。店主への気遣いとしてブルちゃんの「満月の夕べ」の伴奏もやった記憶はある。当時「やちむん」のライブは毎年のようにやっていたので、何度も足を運んだものだった。それにしても30年続ける、というのはすごいことだ。そんなバンドは日本では電気グルーブぐらいじゃないか。SMAPだって解散した時28年だったそうだからSMAPを超えたということだ。

奈須さんはいつでもアコースティックギターを抱えている。抱えていなければ肩に担いでいる。もはやムーミンのスナフキンのようだ。そういう生き方だということ。かっこいい。映画の紹介動画で知ったが、最近は那覇の国際通りで流しをやっているそうだ。ますますギターを抱えた吟遊詩人のようだ。もう売れようが、売れまいが、関係ないのかもしれない。いや、売れて欲しい。売れるべきだ。テレビとかにバンバン出て欲しい。藤井風みたいに全世界でSpotify配信で大ヒットしたりしないかな。奈須さんだって「一生売れない心の準備は・・・俺はできてない! 君も醜くあがき続けろ! 」と歌ってるんだから。

こちら、もう5年前だけど、最新レコード、12インチアナログ盤のみだそうです。
■2018年02月01日発売中 12インチアナログ盤LP
奈須重樹とやちむん刺激茄子「まるでソングブックのように」

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