重鎮 クリスティ・ムーア

重鎮 クリスティ・ムーア

一年位前、新宿で時間つぶしをしなくてはならなくなった時、Disc Unionが目に入ったので入ってみた。アイルランド音楽コーナーには20枚くらいしかCDが無かったのだがその中にクリスティ・ムーアの豪華なブックレットがあった。少し高かったが4枚組だしと思い切って買うことにした。買ってよかった。そのあとずっと聴いている。
“Magic Night”と”On The Road”という2タイトルでそれぞれ2枚組。もともとOn The Roadは2017年のアルバムで、それにMagic Nightsをくっつけて4枚組で2019年に発売されたということだろう。
ポーグスファンとしてはPair of Brown eyesとFairytale of NYのカバーが入っているのが嬉しいのだけど、正直言ってクリスティ・ムーアのライブ音源をそれほど聴いたことが無かったので、こんなにカッコいいのか、今までアイルランド音楽オタクだと公言していたくせになぜ知らなかったのかと呆然とした。
クリスティ・ムーアのことを少しネットで検索したが日本語での解説はほとんど見つからない。アイルランドではあんなに大御所なのに。1945年生まれの77歳、経歴としてはプランクシティが有名だ。アイルランド伝統音楽を現代に通用するエンターテイメントに昇華させた先駆者。でも脱退したのはなんと1975年、それ以降はソロの活動が多いようだ。とても長く活動をしてきたことがわかる。政治的な発言で世間を騒がしたり、アルコールでだいぶ苦しんだりしたようだ。
余談だが、今回ウィキペディアを見ていて知ったが彼の弟がミュージシャンのルカ・ブルームだそうだ。彼の芸名の由来が面白い。30歳を超えてアメリカに渡った時、流行っていたスザンヌ・ベガの”Luka”という曲からルカを、ジェイムス・ジョイスの小説ユリシーズの主人公からブルームをとって、ルカ・ブルームと名乗ったのだそう。

このライブアルバムを聞くと観客がほとんどの歌で一緒に歌っている。しかもところどころクリスティのジョークで笑いが起こる。歌の途中でアドリブが入るのだ。盛り上がっている。本当に楽しそうだ。”Lisdoonvarna”という曲などは最高。

その曲、同時期のテレビショーの動画。ここでの観客の反応見ればなんとなく伝わるはず。
https://youtu.be/_SVo9W4QM5A

もう一つ、このライブアルバムの聞きどころとしては、クリスティの弾くアコースティックギターの音がとても気持ちがいい。きっと良いギターと良い機材を使っているのだろうと思う。彼がどこのギターをメインで使っているのかはわからない。もし知っている人がいたら教えてほしい。ふと検索したらAtkin Guitarsという新興のイギリスのメーカーのホームページにクリスティがこのメーカーの43モデルを気に入って感謝のメールまでもらった、と書いてある。とても評判のいいメーカーで、フェアグラウンドアトラクションズのメンバーも使っているらしい。わざとらしく誘導しているようで気が咎めるが、実はうちの店にもA37というビンテージテイストの2020年製のモデルがある。確かにクリスティ・ムーアのように、時に指でつまびき、時にピックで強くかき鳴らすようなスタイルのギタースタイルにはぴったりだと思う。
ああ一度でいいから生のライブを観てみたい!

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