テナーギターという新世界

テナーギターという新世界

テナーギターなるものを入手した。

Martin モデル名は0-18T。
シリアルは90xxx番、テーブルを見るとなんと1945年製。
こんなに古いMartinを普通に買おうと思ったらすごい値段だ。ちなみにReverbで1940年代の0-18を検索してみるとこんな感じである。どれも100万円超え。

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ビンテージ・マーチンは明らかに高騰している

しかしこのモデルを検索してみると、相場的には大体20万円台である。それほど需要がないのだろうか。それほど需要がないのだろうか。正直いうと僕自身もこういう楽器があるということを今回初めて知ったのだ。使っているミュージシャンも知らない。アイルランドのダービッシュのキャシー・ジョーダンが似たような楽器を持っていたが、それは8弦4コースだった。ギターブズーキかな、と思ったけど、どうなのだろう。

届いてドキドキしながらケースを開けてみると、思ったよりボロボロではない。コツコツとあちこち叩いてみても、ぽんぽんと非常にいい音がする。ブレーシングも剥がれていないようだ。

ケースはさすがにオリジナルではないと思われるが、こんな特別なサイズに合わせて作られたものであろう、なかなかに貫禄のあるケースである。

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ガムテープのようなもので補修されている

ネック下にあるポケットを開けてみると、こんなブックレットが入っていた。奥付けを見てみると1977年、とある。おそらく以前のオーナーがその頃に楽器店で購入した際に付属したものだろうか。1945年製なので、その時点で32年物のビンテージギターだったということになる。趣がある。

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文字ばっかりの良い雰囲気の冊子

張ってある弦のまま、チューニングをしてみる。
Wikiなどを見ると、一般的にはテナーバンジョーと同じCGDAチューニングやギターの下4弦と同じDGBEチューニングを使うらしい。
まずはギターと同じDGBEのチューニング。
柔らかく、非常に良い音がする。弦高も低い。12フレットで2.0mm程度。スケールは23インチ、580mm程度なので、テンションも優しい。
おー、素晴らしい、と思わず声が出る。

さらに、テナーバンジョーなどと同じ、CGDAも試してみる。しかし、CGまでは良いが、DAはキツイ感じがする。古いギターなので無理はしたくない。そこで一音落としてB♭FCGで合わせてみる。悪くない。テナーバンジョーや、ブズーキ、オクターブマンドリンのような使い方ができるのではないか、と感じた。

そもそもこの楽器は1920年代以降に登場した楽器のようで、Martin社は1927年に販売を開始、その当時4弦のテナーバンジョーを弾いていたミュージシャンがそのままギターが弾けるように、ということで売り出したそうだ。

下記のリンクはアメリカのルーツミュージック専門のレッスン、教材、楽器ショップのサイトだが、アイリッシュ・マンドリン奏者のマーラ・フィビッシュが自分の1930年製の5-17Tを弾いている動画が見られる。弾いている17というのはトップも含めてオールマホガニーのモデルである。とてもいい雰囲気だ。このページの文章には、Martin社では1927年に発売し、同じ年に1000台以上のテナーギターが作られ、それが1949年まで続いた、とある。その頃は結構ヒットした楽器のようだ。

Reverbをみていると、MartinだけでなくGibsonも同時期にテナーギターを作っていて、このTG-0というモデルは1928-31年のものだという。

ところで、上記のマーラさんは動画の中の説明によると、ADAEという独特なチューニングを使っている。これは彼女がマンドーラでも使っているチューニングのようだ。それで、ギターの1-4弦よりも太い弦を張っているようだ。4弦から順に、39、29、19、14(単位は1/1000インチ)を使うそうだ。

また、もう一人、こちらのテナーギターレッスンの人もアイリッシュっぽい演奏をしている。彼の場合は、GDADのチューニングを使っている。より低音が効いている。ゲージは4弦から42、30、20、14を使っているという。いわゆるオクターブマンドリンやマンドラなどのチューニングはGDAEを使うことが多いが、1弦だけDに落としている。

ただ、探してみても似たようなゲージのセットがなかなか見つからない。ダダリオやエリクサーでは、エクストラライトでも3弦のワウンドが、23あり、少し太い。それで他を探すと、こんな弦があった。

5-2弦で、40、28、20、14とこれなら上記のゲージに近い。早速注文した。

新しい世界が開けてきたぞ。

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