映画『ボブ・マーリー:ONE LOVE』を見てきた。
新宿ピカデリーで14:30からの上映回だったのだが、映画館に着いたのが14:30ちょうど、しかも席も取ってなかったので、急いでカウンターに行き、端っこが空いていたのでそこをとり、もう暗くなって予告編が始まっている会場へ入ると、席は入り口から反対側だ。自分の席のアルファベットの列に入り、すみません、すみません、と人の足を跨いで進む。一番反対側まで到着すると、なんとそちら側にも通路があるじゃないか。ああ、バカみたい、暗くてわからなかった。足を踏んだ人、すみませんでした。
映画の冒頭にジギー・マーレー本人が写り「僕ら家族も全面的に協力して、本当のボブ・マーリーの姿を描いたものになったと思う。みなさん、楽しんで!」と語りかけて始まった。
映画自体、全然退屈しなかったし、主人公の役者にも違和感はなかったし、とても良くできてると思う。ただ、なんとなく思うのは、ボブ・マーレーがいい人に描かれすぎてないか、と言うこと。
いやそうでもない場面もちゃんとあった。奥さんのリタを理不尽に攻めたり、裏切った仲間を執拗に殴ったりダークな部分もちゃんと描かれていた。ただなんというか、本当はもっと手に負えなくて、もっとイカれていて、やばい感じだったのでは無いか、と勝手に想像してしまうのだ。例えば女癖も相当悪かったようだが、そんなエピソードはなかった。マリファナなんかも全然でてこない。その理由の一つとして、冒頭にあったように家族が制作に全面協力をしているからではないだろうか。別に家族が直接何かを言わなくとも、制作側も気を使ってしまうのではないか。
感動的なエピソードは色々あった。セラシエ一世の形見だと言われているライオンの指輪(映画ではエチオピアの大使からもらった、と言われていたように記憶している)をはめるのを躊躇しているボブに、「あなたにはそれをする権利があるわ」と言ってはめてもらうシーンとか、「ラブソングは必ず作り続けてね」と言われるシーンなどはきっと、奥さんのリタの指導が入ったことだろう。
また、まだ駆け出しの頃、キングストン唯一の録音スタジオ、その名もスタジオ・ワンで、売り込みにやってきたウェイリング・ウェイラーズが2曲演奏する。一曲目は「It Hurts To Be Alone」でバンド一番の若手、ジュニア・ブレイスウェイトが女性のような声で歌っている曲だ。これを聞いて、スタジオのコクソン・ドットはアメリカの歌のモノマネじゃだめだ、やり直してこい、とダメ出しをする。もう一曲あるから聞いてくれ、とやるのが「Simmer Down」で、これを聞いて、いいじゃないか、録音しよう、と言ってくれる。ところで脱線するが、この曲「Simmer Down」、サビのコーラスが「シマダー♪」となるので、静岡の島田市在住の方々はぜひこの曲を市の歌として採用されたらいいんじゃないか、と思う。
このシーンが印象に残ったのは、2曲ともよく聞いていた曲だったからだ。中学生か高校生になりたての頃、静岡のレコード店、すみやの洋盤フェアでこの2枚組を1200円くらいの破格の値段で買った。まだロックステディやスカをやっていた頃のウェイラーズの曲ばかり入っていて、とても気に入っていた。そこにこの2曲も入っていたのだ。
その裏表紙に英語で解説が載っている。これを読むと、60年代後半、コクソン・ドットのプロデュースで最初にヒットしたのが「It Hurts To Be Alone」、それに続いたのが「Simmer Down」とある。うーむ、ダメ出しされた曲が最初にヒットした、とあるじゃないか。映画にはきっとそう言うツッコミどころが他にもあるのだろう。
それにしても全編、ボブ・マーリーの曲が大音量で流れるのだが、改めて聞くとどれも素晴らしい曲とアレンジ、音作りだ。「Get Up, Stand Up」なんて、曲が始まってから終わるまでコードがCmのまま変わらない、と言う前代未聞の曲である。
映画では、ボブ・マーリーがアコースティックギターを弾きながら歌うシーンも多い。有名なこの曲を弾き語りをするシーンもある。
どんなギターを弾いていたのかな、と検索してみると、ギルドでこんなギターを出している。自宅で曲を作るのに、ギルドのギターを使っていたようだ。
色々写真も残っている。くだらないことだとわかっていても、好きなミュージシャンが使っていた楽器のことはどうしても気になってしまうのだ。
ボブ・マーリーの最初のギターと言うのがあった。60年代に使っていたものだそうだが、火災で焼けてしまったそうだ。キングストンの博物館に展示されているとのこと。
ボブ・マーリーとフォークギターと言うテーマはもう少し研究しても良いかもしれない。弾き語りの録音なんかも残っているんじゃないのかな。