No Music For Genocide 今ミュージシャンたちが起こしている行動

No Music For Genocide 今ミュージシャンたちが起こしている行動

一向に終わらないイスラエルによるガザへの一方的な攻撃と虐殺。6月のグラストンベリーで「Free Palestine!」と叫んだKneecapがBBCの中継から外され、一方では中継されたBobby Vylanが「Death to the IDF」と叫んだことが物議を醸して大変な弾圧に合い、しかしそうした動きに触発されたかのように、ミュージシャンたちが行動を起こし始めたというニュースが次々に耳に入ってくる。

まず、Massive Attack。

二つ取り組みがある。一つは“No Music For Genocide”運動への支持。もう一つは”Spotify”への全面的な楽曲提供の中止だ。

“No Music For Genocide”のサイトはこちら。イスラエル国内での音楽配信を停止して抵抗の意思を示そうという文化的ボイコットの取り組みである。

このサイトには参加しているミュージシャンのリストがある。Björk やPrimal Screamの名前もある。そしてアイルランドのFontaines D.C. 、Kneecap、Lankum、The Mary Wallopersの名前も見つけた。日本からはOtoboke Beaver、さすがだ。彼女たちは海外のライブのMCでもきちんと声をあげている。

Björkの参加はニュースにもなっている。

ちなみにMassive Attackの声明文は以下。

No Music For Genocide(ジェノサイドに音楽を供与するな)”運動を支持し、マッシヴ・アタックは所属するレコードレーベル(ユニバーサル・ミュージック・グループ)に対し、イスラエル国内のすべてのDSPストリーミングサービスから我々の音楽を削除するよう正式に要請しました。
 
このイニシアチブとは別件として、また同社CEOが軍事用ドローン及び戦闘機に統合されたAI技術を生産する企業に(報道によれば)多額の投資をしていることを踏まえ、マッシヴ・アタックは所属するレーベルに対し、全地域でSpotifyストリーミングサービスから我々の音楽を削除するよう別途要請しました。
 
我々の見解では、アパルトヘイト時代の南アフリカにおける効果的なアーティストの行動という歴史的先例、そして現在イスラエル国家によって行われているアパルトヘイト・戦争犯罪・ジェノサイドにより、“No Music For Genocide”キャンペーンは不可欠なものとなっています。
 
Spotifyの別件については、長らくアーティストに課せられてきた経済的負担に加え、ファンが苦労して稼いだお金とミュージシャンの創造的努力が、最終的に致命的でディストピア的な技術に資金提供するという道徳的・倫理的負担が重なっています。
 
もうたくさんだ。
 
別の道は存在する

そして今やスーパースターのDua Lipは、グラストンベリーでのKneecapのパフォーマンスを批判する所見を示し、親イスラエルの立場を示した自分のエージェントを解雇したという。

イギリスのインディーロック界のご意見番、Billy Braggは"Hundred Year Hunger"という曲をリリースした。

こちらの記事にあるように、この曲はグレタ・トゥーンベリが乗船しているグローバル・スムード船団の出発に合わせて発表されたのだという。素晴らしい歌だ。

こちらはyoutubeのサムネイルより

今週、イスラエルの海上封鎖を突破しガザへ人道支援物資を届けるべく出航する「グローバル・スムード船団」への連帯を表明し、ビリー・ブラッグがパレスチナ支援の新曲をリリース。
『百年の飢餓』は、ガザでイスラエルが引き起こした現在の飢饉を、パレスチナ民衆に課せられた100年にわたる強制的な食糧不安と栄養失調の視点から描く。その起源は英国帝国主義にあり、後にイスラエル国家による大量追放の武器として利用されてきた。
タイトルはE・マーク・ウィンドルによる近著『Hundred Year Hunger』に由来する。
「スムード」はアラビア語で「不屈の精神」「忍耐」を意味する。パレスチナ人がイスラエル占領に対する非暴力の日常的抵抗を表現する際に用いる言葉だ。スムードは苦難と抑圧にもかかわらず自らの土地に留まるというパレスチナ人の決意を強調し、彼らの日常そのものを抵抗の形態へと昇華させる。
「ラン・ナールハル」は「我々は去らない」を意味する。これらを組み合わせた「スムード!スムード!ラン・ナールハル」は、パレスチナ人が追放を拒絶する決意を伝える。

こちらが歌詞。きっと元々の言葉遣いがシンプルなのだろう、AI翻訳なのに綺麗な日本語になる。

これらのオリーブ畑の根は深く
七十年以上の時を経て
その木陰で平和を求めた
農民たちを養ってきた
父の父はこの地を耕した
境界線が引かれる前
遠くで宣言がなされる前
夜明けに闇をもたらす前に
飢えと
苦しみと
虐殺と
恐怖と
スムード!スムード!ラン・ナルハル
存在は抵抗なり
スムード!スムード!ラン・ナールハル
我々はこの地を離れない
我が母は難民であった
入植者たちが来て畑を焼き払い
ついに彼女は
家族を養えなくなった
我々は数十年間、キャンプで暮らした
海岸沿いの細長い土地で
絶望が日々を満たし
飢えが全ての家を徘徊した
渇き

悲惨

スムード!スムード!ラン・ナルハル
存在は抵抗なり
スムード!スムード!ラン・ナルハル
我々はこの地を去らぬ
今、我が子らは問う
なぜ世界は傍観するのかと
イスラエルが飢饉を
戦争の武器として用いるのに
食糧は罠の餌となる
無防備な飢えた者たちが
助けを求めて躓きながら
しかし彼らが得るものは
銃弾の傷
戦車の砲火
幼児殺害
そして塵だけ
スムード!スムード!ラン・ナハル
存在こそが抵抗だ
スムード!スムード!ラン・ナハル
我々はこの地を離れない
我々はこの地を離れない

ところで、昨日のニュースでもグレタさんたちの船団の近くで爆発があったとのこと。無事を祈り続けるしかない。

ブライアン・イーノが主導してコンサート「Together for Palestine」が9月17日にウェンブリーアリーナにて行われた。12000枚のチケットは2時間でソールドアウトしたという。こちらの記事でイーノ本人がコンサートの企画の経緯、目的を話している。37年前に隣のスタジアムで行われたネルソン・マンデラの支援コンサートのことを挙げ、その当時マンデラはテロリストとされていた。しかし、このコンサートがきっかけとなって、人々の意識が変化しアパルトヘイトの撤廃に繋がった。それと同じことが起こせるはずだ、と話している。

ステージには、ベネディクト・カンバーバッチやガイ・ピアースなどの俳優をはじめ、デイモン・アルバーンをはじめ、多くのミュージシャンが参加している。

こちらの公式ページにあるポスターを見ると、恥ずかしいことに若いミュージシャンの名前はほとんどわからないが、ポール・ウェラーやネネ・チェリーの名前もある。

こちらはダイジェスト

こちらはパレスチナにルーツを持つElyannaの歌

ブライアン・イーノは9月20日(土)ロンドンO2シェパーズ・ブッシュ・エンパイアで開催されたガザ支援チャリティー公演「Days Like These」にもビリー・ブラッグ&フレンズとして参加し、朗読を披露したという。

イーノはこの詩をただ読んだそうだ。ちょっと泣けてくる。

ああ、ガザの悪ガキたち
窓の下で叫び声をあげ、いつも私の邪魔をする
毎朝慌ただしさと混乱をもたらす
花瓶を壊し、バルコニーの花を盗む・・・
戻ってきて
そして好きなだけ騒いで、花瓶を壊し、花を盗んで
戻ってきて
ただ戻ってきて

Annie Lennoxもガザのために歌っている。

“Why”という昔の曲にあらたに詩をつけたものだそうだ。

ドローンと銃の音だ
人々が走る 走る 走る
ただ楽しむために 撃ち殺す
次々と倒れる身体
煙が上がるのを ただ見ている
勝者と敗者
征服者と虐待者
これがゲームだ
我々が目にした全てが
君のiPhone画面に収まる
唸るような叫びは隠せない
忘却 忘却が降り注ぐ
忘却が降り注ぐ
教えてくれ
なぜ?

ただぼうっとSNSを眺めているだけで、これだけのミュージシャンが立ち上がっていることを知った。ちゃんと調べればもっと色々あるんだろうと思う。グレタさんのように直接行動には起こせなくても、声を出したり、意思表示をしたりすることに意味があるのだ。一歩踏み出そう。

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