ギターショップはトランプのせいで大変なことになっている

ギターショップはトランプのせいで大変なことになっている

年が明けてから国際ニュースはトランプのやりたい放題ばかりである。この先世界はどうなっていくのか、どこかでストップがかかり、バランスが取れるのか。どうかそうであって欲しい。

みんなが「自分ファースト」と言い出したら、みんなが幸せになることはない。それは誰かが犠牲になるから成立するものだ。もともと「レディ・ファースト」という言葉があるように、「なんとかファースト」という言葉は「自分を差し置いて」誰かを思いやるための言葉だったはずだ。

今回は「アメリカにギターを販売して送る」という事について僕の経験を共有したいと思う。その情報が役に立つ人はあまりいないだろうけれど、どこかにいらっしゃればと願い書くことにする。

結論から述べると、この一年でアメリカ向けのギター販売には大きく二つの障害が発生した。ひとつは日本郵便が扱うアメリカ向けのEMSのサービスの取り扱いが停止したこと。もうひとつはギターのアメリカへの輸入に関税が適用されることになったことだ。ちなみに、どちらもトランプのせいである。それぞれ解説したい。

まずEMSの廃止。

EMSとは日本郵便が提供する国際郵便サービスである。世界のほとんどの国へ最も早く、最も安価に配送ができるサービスで、従来は海外へのギターの発送はほぼ全てこのサービスを利用していた。アメリカへギターを一本送るのに約3万円程度で送ることができる。

しかし、昨年の8月より、郵便局がEMSの取り扱いを停止した。

その理由は「デミニミス撤廃による税関業務の煩雑化」が理由だという。デミニミスというのは「800ドル以下の少額商品の輸入に対する関税の免除措置」のことで、それがトランプの関税政策の一環で撤廃されたことで、いままで無かった関税適用の手続きが急増して、本来関係の無いEMSの取り扱いに手が負えなくなった、というのが実情のようだ。そのせいで、現在はFedExで送っているのだが、料金は、ここのところ年末年始のピークチャージというものが加算されてなんと62,000円程度になってしまう。EMSの倍以上だ。この送料はもちろんお客さんに負担をしてもらうわけだが、当然購買のハードルが一気に上がることになってしまう。

ところで10月くらいに郵便局から「UGX(ゆうグローバルエクスプレス)」という新サービスが発表された。

EMSより格段に安い、という触れ込みだったので、ああ、救世主が現れたと思ったのだが、全くのぬか喜びだった。くわしい説明を聞くと、裏側はFedExが運ぶことになっていて、料金体系はほぼFedExと同様であった。安くなる、というのはどういうことだったのかというと、同じ重量であれば、こちらのほうがEMSより安い、ということなのだが、EMSとFedExの料金の計算の仕方には決定的な違いがある。EMSは荷物の実際の重さで計算するのだが、FedExでは実際の重量と容積から換算した重量の大きいほうの重量から料金を計算する。ギターのパッケージは非常に大きいので容積の重量が採用され、実際の重さは10kg程度であるのにも関わらず30kg以上として料金が計算されることになり、結果として、倍以上の料金となってしまうのだ。

もう一つは関税である。

これまでは日本からの中古ギターの輸入に対して、アメリカの税関では関税は課していなかったはずである。「最恵国待遇」というものが適用されていたのだろう。

しかし、トランプの関税政策により昨年8月以降、日本からの全ての輸入商品に対して約15%の関税が課されることになった。

実際、ギターを買ってくれたアメリカのお客さんから「こんなに多額の関税が請求された。どうしてくれるのだ。」というクレームが相次いだ。「これは私が払うべきものなのか?それともあなたが負担すべきものなのか?」という趣旨のクレームもあった。調べると関税とは原則として「輸入者が支払う義務がある」そうなので、そこは強気で拒否をした。

しかし、私が販売しているギターのほとんどはマーチンとかギブソンなど、アメリカ製のギターである。過去に日本でアメリカから輸入して販売されたものを、アメリカに再輸入される商品である。AIで調べてもらうと、再輸入品に関しては関税が免除される制度があるそうだ。しかし、税関で「これはたしかにメイドインUSAである」ということを証明できるような書類を準備する必要があるようだ。

具体的にはこのような書類がある。

また、これに加えて、ギターのラベルなど「Made in USA」の表記があるものの写真を撮影して、補足資料として添付することとした。これでうまくいくかどうか、すでに何度か実際に送ったが、今のところうまく行っているようだ。

というわけで、現在アメリカ向けには62,000円の送料と、アメリカ製ではないギターの場合は15%の関税をお客さんが負担することになるので、売れ行きがあまり良く無い。しかしアメリカ製のギターであれば関税はかからないし、このひどい円安によって、6万円の送料負担を厭わないお客さんがいることも事実だ。その線で頑張るしかない。

でもやはり異常な事態なのである。不必要な通商障壁だと思う。アメリカ国民にはがんばってもらい、残りの任期を待たず、もう少しまともな指導者を迎えてもらえないものだろうか。

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