2025年4月22日、Flook来日公演、南青山マンダラ、行ってきました。
なんと結成30周年、そして新しいアルバムのタイトルが「SANJU」。今回のMCでも言っていたのだが、彼らは20年前、結成10周年の時にこの同じ南青山マンダラでライブやっていて、僕もそれに行っている。同じ会場でやる、と聞いてなんだか感慨深く、すぐに予約をした。
会場は自由席だったので、開場の18時に合わせて向かった。予約番号順の入場となっていて、僕は45番だったので後ろの方になっちゃうかな、と心配したが、なんと一番前の席が空いていて座れた。端っこではあったが。手が届きそうな距離で、生音が聞こえてくるような席で観ることができて幸せだった。ついでに言うと同じテーブルを囲んだ、Flookの大ファンで今回もほぼ全ての公演を追っかける予定だという若者とも話が弾み嬉しかった。

MCの英語は半分くらいしか聞き取れなかったが、ゆっくりわかりやすく話してくれていたのがわかった。特に新しいアルバムの「SANJU」の曲説明をしてくれていた。
少し紹介する。
アルバムの一セット目の中の「Farther Shore」はスコットランドの有名な作曲家でパフォーマーでもあるフィル・カニンガムとフルートのサラの共作。アイルランドとスコットランドの間に横たわり愛する人々を隔てる海についての曲だそうだ。
アルバムの2セット目、「Johnny D’s」というのはあのソーラスのJohn Doyleのことで、彼がダブリンで凱旋ライブをやった時に親戚の子供達がたくさん観にきて「ジョニーディー! ジョニーディー!」と声援を送ったのが面白くて曲の題名にしたとのこと。彼とよく共演しているアメリカのリズ・キャロルの曲だ。
そして3セット目には「Faqqua」という曲があるがこれはパレスチナの国花だという。ブライアンが作った曲できっとパレスチナの人たちに心を寄せるメッセージが込められているのだろう。ネットで検索するとこんな花だ。

最後のセットの「Ninety Years Young」はサラのお父さんのことを曲にしたそうだ。90歳なんだそうだが、「90歳の若さ」という言い方がオシャレだ。
サインももらった。

もちろん30年という年月が培った熟練というものもあるのかもしれないが、円熟、とか老練とか、そんな感じは全然しない。
もともと彼らの音楽はまるで電子音楽なのではないかと思わせるような複雑な旋律とリズムを持ち、圧倒的な演奏力でものすごいスピード感で演奏される。そして、演奏に興が乗ってくるとジョン・ジョー・ケリーのバウロンとエド・ボイドのギターがお互いを煽るようにしてギアを上げていく。金属フルートのサラは涼しい顔をして、そのリズムについていくのだが、これ以上いくとアンサンブルが崩れてしまうのではないか、というギリギリのところでブライアンがねじり伏せるようにして立て直す。そういう、結局は電子音楽には実現不可能な、太古から人間の作り出してきた音楽が持つグルーブ感みたいなものを結成当時から持っていた。それが結成から30年を経て、ますます早く、ますます危なっかしく、ますますスリリングになっているのだ。
最後に今回のライブでもやった、ジョン・ジョー・ケリーの恒例のバウロンソロを乗せておく。世界一のバウロンプレーヤーである。帰りに大ファンだ、と言ったらハグしてくれた。
まだまだ年齢を感じさせない演奏であった。かれらはどこに向かっていくのか。多分このままどんどん早く、どんどんスリリングな演奏を続けていくのではないだろうか。